世界を驚嘆させた金属工芸

鍛打に錆付された鉄の古瓦、銀地に金、赤銅、銅の象嵌と彫りが施された鳩と数mm程の大きさの蜘蛛が見事
鍛打に錆付された鉄の古瓦、銀地に金、赤銅、銅の象嵌と彫りが施された鳩と数mm程の大きさの蜘蛛が見事

東京 六本木のビルの谷間にひっそりと建つ泉屋博古館分館は、ビルの谷間にありながら、緑に囲まれた都会のオアシスを感じる所です。

ここで、江戸末期から明治時代にかけて、世界を驚嘆させた日本の金属工芸展 ”幕末・明治の超絶技巧” が開催されています。日本の金工は、長い年月をかけて、目貫(めぬき)、小柄(こづか)、笄(こうがい)、鍔(つば)といった刀装金工を中心に発展してきました。しかし、幕藩体制が崩壊し、廃刀令により金工家たちは、新しい物作りの方向を探る必要にせまられます。そしてやがて、花瓶、小形の壺、香炉といった置物的な作品を生み出すようになっていきます。

金、銀、銅に加え、日本独特の金属の配合により生まれた赤銅、朧銀、黄銅などの地金を使い、それは見事な芸術品を生み出しています。色数少ない中でも、地金の配色により、鮮やかな風合いを出していることに、驚きを感じました。地金で表したとは思えないほどの本物らしい質感には、圧倒されました。

正阿弥勝義 1 の作品の中に、虫をモチーフにした置物の作品がありますが、それはもう、動き出しそうです!ワッと思わず声をあげてしまいました。世界に誇れる金工作品群、深く心に刻まれた、とても見ごたえある展覧会でした。


※ 展覧会は、2010年 12月12日(日)まで。

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